「奥のBOSO道」
~河童とマグロ 2022真夏の大暴走~
和歌山県の飛び地、北山村へ(8月5日~6日)
序章
パンデミックの月日は、ウイルス百代の変異で何度も感染の波に襲われました。行きかう年もまた不確かなことでしょう。第6波減少の頃、竹ノ内峠を越え、熊野川の筏下りをしてみたくなり、初夏の風に心狂わせ、北山村旅行の計画を立てました。旅を目前に控えた文月も末、第7波が猛威を振るいだしました。懊悩の末、「今、行かないと一生行けないかもしれない」「毎週集っているむつまじき仲間となら」と、旅を決行。この時点で既に暴走かもしれません。
筏下りに加えてラフティングも体験したグループを「マダム河童チーム」、筏下りとレンタサイクルで熊野路を回遊したグループを「マグロチーム」と名付けました。各チームの暴走ぎみ紀行文をリレー方式で綴ります。
マダム河童チーム(1日目ラフティング・2日目筏下り)
K下、S橋、N子、H子、Tこりん
マグロチーム(1日目筏下り・2日目サイクリング)
Mちゃん、Aしぃ、Fさん
第一段 ~旅のはじまり~
金曜日の早朝、ビジネスマンに混じりドキドキしながら集合場所へ。
優しそうな丸顔の運転手さんに迎えられ、誰一人遅刻することなく無事8時に出発!
まず、車中ではワクワク感重視のH子さん提案で、今夜のお宿4部屋(ABCD)の2人組をあみだクジで決める事になりました。
各自名前と横棒を好きに記入し、そして各自あみだを解いて部屋を確認。
いざ、発表!
A室の人は?「ハイ」と手を上げたのはなんと3人!え〜なんで〜
約1名、あみだクジを理解していない人がいたのだ…みんな大爆笑!
途中の道の駅で車中食べるお昼のお弁当購入。地元の食材を使ったほんのり温かいお弁当あり、柿の葉寿司あり。
バスに戻ると時間はまだ9時半。今から食べたら学生時代の早弁やん、と思っていると、前列のAしぃは食べ始めていました。さすがル・ヴァンの早食い王ここにあり!その後、Mちゃんが買ってくれたお饅頭が回ってきました。ほうじ茶風味のお餅に黒糖入あんこが絶妙に美味しかったです。
お腹が満たされると睡魔が…マスクをしていると大口開けてヨダレを垂らしてもわからない(笑) 爆睡していると、肩をトントン。もう着いたよ〜とFさんに起こされました。
運転手さんにお礼を言い、バスを下車。
さぁ元気よく、いざラフティング&筏下りへGO!
by マダム河童チーム K下
第二段 ~河童の川流れ~
「マダム河童チーム」の5人は、借りたウエットスーツを着込み、いざラフティングへ!川へ着くやいなや、空からポツポツと雨らしきものがー。まさかや〜! さっきまで晴れとったのにー。「ついてますね。このお天気最高ですよ」とインストラクターのお兄さん。ボートに乗り込む頃には、滝に打たれているような豪雨になりました。
ふと横を見ると、筏下りに乗船している「マグロチーム」の3人が罰ゲームをさせられているかのごとく、ビシャビシャになっているではありませんか。(いや修行だったんでしょうか)
ル・ヴァンメンバーでのラフティングも5回目だけに、みんなパドル(ボートを漕ぐ櫂)の使い方もお手のもの。すいすいボートが進みます。筏下りのお客様から拍手をいただいてビックリ! 急流にさしかかると、白い水飛沫がピッシャーと顔を直撃します。でも平気、すでに土砂降りでメイクも取れていますから。インストラクターのお言葉通り、豪雨は、幻想的な風景を醸し出してくれました。霧がかかって、中国の水墨画のような素晴らしい世界。最高!
川の中に入ってのプカプカ(仰向けで浮いている状態)タイム。雨が降っていても気持ち良く、流れに乗って、プーカプカ。あれ、N子さん、1人だけどこ行くの?「みんなどこ? 仰向けだから、みんなが見えない、どこー?」と叫びながら仰向けのままドタバタしているN子さんを遠目に見ながら、どうしてあげることもできず、気持ちよくプカプカしていた4人なのでした。
今回は、滅多に味わうことのできない、豪雨の中でのスリル満点のラフティングでした。年齢制限のため、今年が最後と臨まれたH子さん、その行動力とチャレンジ精神、半端ない大はしゃぎぶりから、「北山村のラフティングは一生顔パス!」とインストラクターから認められました。👏H子さん、来年も是非行きましょう!もっとパワーアップしているH子さんを見られるかも。
by マダム河童チーム S橋
第三段 ~マグロの川修行~
北山村には予定より早く到着。川が近いからか、案外湿気があり、日差しも暑く感じます。本日筏下りを体験するのはマグロチームの3名。
筏下り専用バスに乗り込むまで、冷房の効いた観光案内センター内で涼んでいると、やがてバス到着。
案内してくださる、○に筏 と背中に大きく書かれたハッピ姿の筏師のお兄さんが、近くの山に掛かり始めた雲を見て一言。「あの山に雲がかかるとヤバイ、一雨来るかも。」
その言葉通り、バスに乗り込むや辺りは暗くなり、ポツポツ降り始めてしまいました。川岸に着き、筏師のお兄さんの注意事項を聞いて、いざ乗り込み、ライフジャケットを装着、筏が川下へ滑り出す頃には、ザァーという音とともにみるみるどしゃ降りの雨!おまけに時折、雷も。筏師お兄さんは、「皆さん、雨は嫌がらはるけど、雨の景色はまた格別ですよ~」でも、筏下り初体験でいきなりこの雨?これって罰ゲーム?後日聞いたところによると80~100ミリの豪雨だったのだそうです。滝に打たれながらの筏下り。修行か…。
晴れていたら川の両側にそそり立つ面白い形の岩を写真に収めたいところでしたが、スマホはしっかりライフジャケットの中で、びしょ濡れになるので取り出せず。そんな状況の中、後ろのFさんが果敢にも動画を撮ってくれたのには感服しました。迫力ある動画をお楽しみください。
途中、同じ川下り中の5名のマダム河童たちが大雨のラフティングを満喫している様子が見えました。
3人の筏師お兄さん方は、3連の筏を巧みに長い竿と櫂で操り、流れの穏やかなところでは、川縁の岩にあらかじめ杭打ちされた縄を引っ張るようにして筏の端を前から後ろへと歩いては、筏を川下へ送ります。何ヵ所か、ゴツゴツした岩が川面に露出した川幅の狭い急流に差し掛かると、筏師兄さんの「はい、立って、手すりをしっかり持って」の合図で立ち上がり、急流を一気に滑ります。足元に白く泡立つ川の水がかかり、冷たい!って、その前に、すでにどしゃ降りの雨で全身充分びしょ濡れでしたが。筏師お兄さんのおしゃべりを聞きながら、急流のあとの緩やかな流れを下るうち、雨も小止み状態、辺りの山の間にはもやっとした雲がかかり、水墨画のような幻想的な景色となっていました。
小一時間の筏下りを堪能、終点の川岸に皆が上がると、筏師お兄さん方は、すぐに筏を解体し始め、吊り上げてトラックに乗せ、また川の上流まで運ぶ準備に取りかかっていました。花柄のビニールシート付き座席の専用バスに乗り込み、宿泊施設まで戻りました。この筏下り、元々は山で切り出した吉野杉の丸太を新宮まで運ぶ手段として川を利用していたのが、道路ができて陸輸送になり、今は日本唯一の観光筏下りとして認可されたそうです。晴れの時とはまた、一味違った 美しい景色に出会えた筏下り初体験でした。が、この季節でも、さすがにびしょ濡れは寒い!バス降車後は、施設の温泉に直行、おかげで冷えた体はほどよく温まりました。
by マグロ1号 Mちゃん
第四段 ~マグロ時々ピラニアの夕暮れ~
コテージに入り、ぼとぼとになった衣類やサンダル、バッグなどをドライヤーやバスタオルを総動員して乾かすも、バスタオルが絞れるほどになってもぐっしょり感がとれません(乾燥機があればなぁ!)とりあえず部屋の中やらベランダの手すりやらにかけまくり、さっぱりした身体で散歩に出かけました。
雨上がりのしっとりした景色の中を歩くこと5分、北山川にかかる大きな吊り橋に着きました。うわ、下が透けて見えるやん!おっかなびっくり踏み出すと振動で若干揺れ、思わずへっぴり腰に。吊り橋と言えば揺らしたがる小5男子のようなH子さんがいなくてよかったぁ!川霧が発生し、さながら鏡のような川面に空や山が映りこんだ幻想的な風景に、先ほどの修行のつらさも吹き飛びます。しかし空腹感は増すばかり。
18時の食事時間になるのももどかしく、レストランへ。河童チームも合流し、まずは皆で乾杯。前菜から始まり、新鮮なお刺身、牛肉の陶板焼き、冬瓜饅頭、鮎の塩焼き、天ぷら盛り合わせ、うなぎのホイル蒸し、釜めし、しじみ汁、デザートと、次から次へと運ばれるご馳走の数々に皆舌鼓を打ちます。が、あまりの量の多さに徐々にペースダウン。釜めしを完食できなかった者5名、ラップをもらっておにぎりにするところが主婦の鑑だわ!
お土産店で筏Tシャツをああでもないこうでもないと選び倒し、色違いで購入しました。河童チームの5名は明日これを着て筏下りに臨むそうです。
by マグロ2号 Aしぃ
第五段 ~マグロ時々ニワトリの回遊~
2日目
ニワトリでもある私たち3名は6時から散歩と朝風呂を楽しみ、朝食をたっぷり堪能した後は、8時のバスで熊野市駅(ここは三重県)に移動。Mちゃんは仕事のためここで帰路につき、残ったマグロチーム2名、まずは駅前でレンタサイクルを調達、熊野市街地を周遊します。
古事記によれば、イザナギとイザナミは国産みの後たくさんの神々を作りますが、火の神カグツチを産んだ際にイザナミは火傷を負って亡くなってしまいます。その出産の地と言われる産田(ウブタ)神社、イザナミの亡骸を葬ったと言われる花の窟(イワヤ)神社は、神社好きが高じて検定まで受けたマグロ2号としては絶対外せないスポット。花の窟はご神体が大きな岩で日本最古の神社とも言われており、世界遺産に指定されています。
ファーマーズマーケットを覗いたり(涼しい!)、歴史民俗資料館に寄ったり(空調壊れてた💦)し、お土産店でイザナミ米(黒米)入りみたらし団子をいただいてしばし休憩。そしてなだらかな海岸線と玉石が美しい七里御浜を獅子岩まで散歩します。熊野灘に向かって獅子が吼えているかのような獅子岩は自然のなせる不思議な彫刻。これらも世界遺産です。
ちょうどお昼になったので海鮮丼でランチ。単品1300円の丼に、300円プラスで天ぷらと茶碗蒸しとお味噌汁と小鉢ふたつが付くって聞けば、そりゃセットでしょ!お陰でまたおなかぱんぱん😅
by マグロ2号 Aしぃ
第六段 ~河童はじゃばら好き~
楽し過ぎだったラフティングから一夜明け、「マダム河童チーム」今日は筏下りに出かけます。昨日色違いで揃えた「筏Tシャツ」を着ていざ出陣!昨日と同じ出発点から長ーい筏に乗り込むと、筏師さんが「昨日ラフティングしてた方ですね。」 えーー!なんでバレてるん⁈ そんなにキャラ立ってたか〜?と思いつつライフジャケットを着て出発。
ラフティングのインストラクターさんは、流れの緩やかな所では軽く漕ぎながら私たちと雑談をしてくれましたが、筏師さんは終始前に後ろに筏の上を走り、とても忙しそう。
お天気もまずまずで、ラフティングとはまた違った川下りを楽しみました。
バスでおくとろ温泉に戻り、ゆっくりお風呂に入ったら、ちょうどお昼の時間。
ラフティングの事務所の隣にあるホットドッグ屋さんへ。ここはインストラクターさんの奥様がやってるお店。全員、じゃばらドッグとじゃばらソフトクリームを注文しました。
じゃばらは、ここ北山村の特産品で柚子やすだちのような柑橘類。花粉症に効くと話題になった事もあるとか。パンは竹炭が練り込んであって真っ黒、ソーセージの上にはじゃばらマヨネーズやじゃばらピールがのってます。ソフトクリームにもじゃばらピールがトッピング。柚子やすだちなどとは違う独特の香りだけど、どちらも美味しかった!奥様も可愛くてステキな方でした。
お腹がいっぱいになったら、いよいよ北山村ともお別れ。楽しかった思い出と一緒に、村営バスでJR熊野駅へ!
by マダム河童チーム N子
第七段 ~マグロの熊野古道修行~
2日目午後
昨日と違ってお天気も良く、電動自転車のおかげで体力にも余裕があったので、さらに世界遺産の鬼ヶ城へ。自転車は階段下に停めてしっかり施錠して歩きます。
伊勢志摩から始まるリアス式海岸の南端、熊野灘の荒波と急激な地盤の隆起によって作り出された大小の海蝕洞が約1.2km続く凝灰岩の大岸壁。平坦なところはほとんど無い、かなりハードなハイキングコースでした。自然の力は凄いし、そこに遊歩道を作っちゃう人間の力も凄い! 絶景を堪能しながら歩きました。波が高いと通行止めになるそうです。今日は穏やか。
途中のお土産店でソフトクリーム(地元特産新姫ニイヒメという柑橘類の)を食べ、調子に乗って熊野古道の松本峠ルートに突入。簡単なイラスト地図に安易に突入したものの、急激な石段の連続には疲労困憊。せっかくのひんやりとした空気も楽しむ余裕無し。摂った水分が汗になって流れます。歌ったら元気になるか…いや、歌う元気が無い…またもや修行か… 。入り口で杖(ただの木の枝ですが)をゲットしておいて良かったです。度々休憩しながら約1.1kmのプチ(と言うにはハードな)熊野古道でした。苔むした石畳が抹茶チョコレートに見えると言って笑われました~
再び自転車で地元のスーパーに行き、夕食(サンドウィッチや秋刀魚寿司)とお土産(じゃばら飴、じゃばらポン酢味ポテチ)を買って、駅前で自転車を返却。
河童チームより一足先に熊野駅から松阪へ向かう電車は単線各駅停車、なんと3時間。トンネルが多くて耳がキンキンするとボヤきながらも寝ました。
今回の旅行、マイクロバスは8人だし、筏下りもマスクだし、宿の食堂は座席の3割ぐらいの人、お風呂もゆったり、宿から熊野駅までのバスは4人、各駅停車は座席の3割ぐらい、近鉄特急は2割ぐらいの人。すいていて良かったです。
松阪駅乗り換えは45分あったので、特急券を買いしっかり準備して河童チームを待ちました。ドタバタ乗り継ぎに続く。
by マグロ3号 F (なんで河童チームだけマダムやねん)
第八段 ~むすびの地へ~
北山村からは村営バスに乗車。お泊まり様は無料です。1時間ほど乗車して到着した熊野市駅前はこぢんまりとした土産物屋が一軒あるだけ。ICOCAカードは自動改札機がないので使えません。今までチャージしたことのない額を入れて来た私は少々ガッカリ(どうせ使うのですが😄)
熊野のスーパー「オークワ」で買った夕食を特急の車内で済ませた後は約1時間半のんびり。
JR松阪駅で近鉄に乗り換えるのですが、どう乗り継ぐのかよくわからない。まあ、乗り換え時間が9分あるから大丈夫だと思っていた私達。ところが、到着予定時間に「あと3分で松阪駅に到着します。乗り換えのお客さまはお急ぎ下さい」と車内アナウンス💦「6分しかない⁉💦」大慌てでデッキに並びました。(バタバタしていたので、後ろに並んでいたお客さまに笑われた😁)
先に到着していた「マグロチーム」が特急券を購入し、近鉄乗り場まで先導してくれたのと、河童チームの最後の全力疾走でなんとか無事乗り換え出来ました😄
体力は使い果たしたのに、車掌さんに「会話は小声でお願いします。」と注意されるくらい、しゃべる元気は残っていた‼️🤣🤣🤣
北山村を出て6時間、21時過ぎに鶴橋駅に到着。遠かった~。お疲れ様。
by マダム河童チーム H子
第九段 ~日常~
堺筋本町、火曜の朝。元気に集まる河童とマグロ。みんな体調は万全で何より。
いつものように体操と発声、コンクール課題曲の練習をみっちり。
「そんな歌い方、音楽と違う!」「遅れてるよ!」「言葉切れてる!」「上がりきってない人おる!前列だけで歌って!」先生のアツ(圧)いゲキに汗が出る。
全力で遊びましたが、旅の疲れは全くありません。すっかり日常です。秋のコンクール、来年のコンサートにむけて納得のいくアカペラのハーモニーを作ろうと、また練習。
‘ コンクール 河童とマグロ ハモルかな ’
by 旅の首謀者 Tこりん(序章と第九段)